私自身、とくに地元の進学校を卒業したわけではありません。
大学も関東の私立大学に進学した程度です。
このため、公認会計士試験の受験勉強では、そもそも「学習方法」が
分からず苦労しました。とくに、最初の入り口である日商簿記検定3級試験
に不合格になってしまい、いきなりの挫折からスタートしたのでした。
四苦八苦しながらも、何とか日商簿記検定1級試験に合格し、その後、
公認会計士試験短答式試験にも合格したわたくしは、とある大手の専門学校
にて簿記講座の講師を務めました。
そこでは、簿記検定3級から1級講座、税理士簿記論講座を担当させて
いただきました。そして、簿記3級講座を担当することで「気づいた」のです。
それは、「簿記3級レベルの内容」がしっかりと身についていないと、どんな
に上級の会計を学習しても積み上がっていかない、ということでした。
いかに「簿記3級レベル」の内容が重要か、教える立場になって真に理解でき
たのです。
その後、もうかれこれ14年近く講師業をしており、担当講座も簿記検定講座や
税理士講座だけでなく、公認会計士講座にも広がりました。
しかし、どの講座でも共通して受講生に言っていることが、「簿記3級の知識
が土台になる」ということなのです。
簿記検定3級講座を担当していた非常に違和感を感じました。
まず、
①会社経営に必要な簿記・会計を学習する講座が存在しないこと
専門学校には経営者の方や病院での経理担当者の方など実務に就いて
会計の知識を必要とされる方からの講座に関するお問い合わせが
度々あるのですが、専門学校で提供する簿記検定3級講座はあくまで
も日商簿記検定3級試験に合格するための知識や受験テクニックを
教授することを目的とするものであり、その方達のニーズにまったく
合っていないのです。
②簿記検定3級講座が問題に対する解答を導くことだけに終始している
違和感の2つめは、簿記検定試験が取引や会計帳簿が問題形式で学習
されるため、すべてがバラバラの状態で学ぶということです。
そのため、多くの学習者は、各帳簿のつながりや簿記一巡の流れがまっ
たく理解できていない人が多く、「問題に対する問い」→「解答を導く」
ということには長けているものの、
「取引」→「会計帳簿に記入」→「決算書の作成」という経理業務の流れ
が身についていない人がほとんどでした。
これは、簿記検定試験がペーパー試験であり、受験勉強の形態を取る
ことに起因するものであり、そのため、教える側は、「資格試験合格」に
主軸が置きます。
よって、本来の経理業務を身につけるということが二の次、三の次となり、
あくまでも「解答を導く」ための解法を身につけるという簿記学習になって
しまっていることが原因なのです。まさしく受験勉強の弊害であり、ビジネス
において会計や財務分析の知識を活かそうとする方にとってはまったく
そのニーズに合っていません。
そこで、私は、「会計帳簿記入の流れ」、「簿記一巡の流れ」、「決算書の
作成方法」などが体感的に学習できる「簿記学習ボードゲーム」を開発する
に至ったのでした。
わたくしは、簿記を体系的、理論的、そして簡単な例示を示して分かりやす
く教える、ということを信条としてきました。
そのため夜遅くまで、講義で配るレジュメを作り、講義に参加できない受講生
のためにパワーポイントにてアニメーション講義を作ったりしました。
しかし、こちらがどんなに提供しても、飛躍的に合格者が伸びるということは
ありませんでした。もちろん、このことにはわたくしの指導不足ということも
否めませんが、それでも、分かりやすく説明した解法通りに問題を解けば必ず
解答が導けるはずなのに、不正解になってしまう受講生がいて、そのことが
どうしても不思議で、納得いかなかったのです。
そして、この疑問があるとき解消されました。
それは、認知心理学でいう「流暢性の幻想」という現象があることを知った
ことでした。
以前から、講師仲間の間では、分かりやすく教えすぎると「逆に学ばなくなる」
という話はしていました。そのことが、心理学の分野で検証されていたのです。
そう、つまり、「分かりやすく教え」すぎると、相手は自分の頭で考えること
がなくなるため、思考の壁にぶつからず、かえって学ばなくなってしまうのです。
この現象は、特に、受動的に学習する現在の学習形態に起こるものです。
受動的に学習するだけでは、自分で頭を使う、思考の壁にぶつかる、といった
ことが起きにくいためその場で、「分かったつもり」になってしまうのです。
だから、簿記検定3級試験や2級試験に受かっていても、本当に分かっている
人が少ないのだと自分なりに合点がいきました。
講師歴14年にもなると、講義で話す内容は全て頭に入っていますので、教える
側としては非常に楽です。しかし、講師がその知識、理解をどんなに披露した
ところで、現在の座学中心の学習形態では、「分かったつもり」の受講生を
多く生んでしまいます。
これからの時代は、講師は考えさせる様々なワークを用意し、受講生が自ら考え
課題をクリアしていく「アクティブラーニング」が大きな役割を果たすと想います。
そして、その1つがわたくしが開発した「M-Cass」なのです!
「M−Cass」では、「数字に強い人財」「決算書を読める人財」になっていただく
ために、「簿記」を使って、自分たちで会計帳簿をつけて決算書を作っていただき
ます。
このため、ゲームに参加する上で「簿記の知識(入門程度)」が必要となります。
ですがご安心ください。下記より、「単式(一式)簿記の記帳ルールガイド」を
無料でダウンロードできます。
ぜひ、セミナーにご参加いただく前に一読されてください。
(ゲーム内でも同じ内容の解説をしますので、この点はご安心ください)
「M-Cass」では、真に決算書を読める人材になっていただくため
に、参加者ご自身で会計帳簿に記帳していただき、決算書を
自分たちで作っていただきます。
そのために「簿記のルール」を知っておく必要がありますので、
上記の「単式簿記の記帳ルールガイド」についての解説を
しております。ぜひ、セミナーに参加される前に一度、ご視聴
ください(セミナーでも同じものを解説いたします)。
8月に実施されます、税理士試験。その試験科目の「簿記論」および「財務諸表論」
を受験される方向けに、「総合問題解法講義」の問題集を無料配布しておます。
本問題集は、本試験レベルの問題を解いていただき、「解答戦略」を身につけて
いただくことを主眼としております。
ぜひ、本問題集を有効に利用していただき、合格を勝ち取ってください!!
総合問題解法講義におきましては、アニメーション動画による
解説をしております。こちらの動画解説もぜひご覧ください。
【個人プロフィール】
氏名:平井 孝道
専修大学経済学部経済学科卒
日商簿記検定1級試験、税理士試験簿記論、財務諸表論合格
公認会計士試験合格
大手専門学校にて、簿記検定3級から1級講座、税理士簿記論講座
公認会計士講座財務会計論を担当する。
公認会計士試験合格後には、一部上場企業の内部統制コンサルティング
地方自治体包括外部監査、学校法人監査、社会福祉法人経理指導に
従事する。
平成17年に個人で開発した教材「パソコンでらくらく学べる簿記」が
熊本県生涯学習コンクールにて最優秀を取る。